これから蓄電池の時代が到来します。
既に携帯電話やノートPCといった電化製品にセットされていて、私たちの身近なものになっていますが、
ここで語る蓄電池は、住宅やビルといった建物に向けた蓄電池を指しています。
既に蓄電池を一家に一台所有しているというご家庭は、まだ少ないのではないかと思います。
『電力会社から電気は買えるし、特に困っていないのに、なぜ蓄電池が必要なのか?』
そう思われる方は、確かに少なくありません。
蓄電池の値段も、車が1台購入できる程の価格だから、簡単に買うような商品ではないと、思われる方の気持ちもお察しします。
しかし、何となくあればいい事だけは分かっている。
もし安くて手頃な値段なら、設置してみてもいい。
そう感じている方も、大勢いらっしゃるはずです。
なぜ、今蓄電池なのか?
その必要性を語る上で、最もインパクトのある話をしますと、災害に対する危機に備える事ではないでしょうか。
言うまでもなく、災害が発生した地域において、電気系統設備がダメージを受ける事により、停電を余儀無くされるという状況は、
ここ最近においてもニュース等で耳にした話です。
東日本大震災の頃には計画停電が発令され、直接的に被害を受けていない地域においても、電気が無いという不便さを身に浸みて痛感しました。
災害の避難所において、最も必要性が高いものとして、バッテリーというアイテムは上位に来ます。
スマートフォンが普及した現代においては、安否確認の連絡や情報収集といった行為の為、電力をチャージできるツールは必要不可欠です。
被災して心細い中、SNS等による励ましや娯楽という時間で満たされる事によって、どれだけ心強い事か。
こういった角度から、蓄電池の重要性は理解できる事は間違いありません。
しかし、その災害がどれ程の確率で発生するのか?
いつどこで発生するか分からない災害に備えて、高額な商品を配備する費用対効果はどうなのか?
といった問いに関しては、すっきりした回答に詰まる状況でもあります。
費用対効果はどうなのか?
つまり災害時のバックアップは当然の機能として備えているものとして、平時においても何かメリットが欲しい所です。
その問いに答える一つとして、時間帯による制御という方法です。
オフィスビルや工場等の産業用の建物には、ピーク電力によって電気代の単価が異なるという方式が採用されています。
そのピークに達する時間帯は、その業態によっても微妙に異なるものではありますが、おおよそ夏場の昼間、
工場等では夕方にピーク電力が跳ね上がります。
住宅においても時間帯別電灯契約や、深夜電力プランというメニューが存在しています。
これらの状況から、安い時間に電力を購入して蓄電池にチャージして、電力が高い時間に蓄電池から引出して電力を使うという方法が、
経済合理性は得られるのではないかと思います。
次に10年程前から、太陽光発電が本格的に住宅に向けて普及し始めました。
2009年に電力買取り制度がスタートした当時は、余った電力を48円/kWhという単価で10年間、電力会社が買取るという制度が施行されました。
2020年現在では、その余った電力を21円/kWhで10年間買取りと、導入当初の半分以下の水準にまで引下げられています。
そして2009年の最も買取り価格の条件が良い時代に、太陽光発電を導入された方は、その恩恵の終焉を迎え、その売電価格は7円/kWh程度とされています。
雀の涙程度の価格でしか売れないのであれば、いっそのこと、上手く活用する方向にシフトするという考え方が、正攻法ではないでしょうか。
太陽光発電と蓄電池は相性がいい?
太陽光発電の弱点は、発電のタイミングが気象条件により不安定である事、電気を溜める事が出来ない事です。
その弱点を補うのが蓄電池です。
太陽光発電は法定耐用年数が17年とされており、実質的には20年以上耐久性があるものと、社会的に認知され始めています。
まだまだ活躍してもらわなければならない太陽光発電を上手に活かす為にも、この蓄電池は強力な武器になります。
また、東京電力を始めとする大手電力会社も、太陽光発電と蓄電池をセットで無償提供するというビジネスモデルも構築し始めました。
その代わり、電気の購入を自分の所から買ってもらうというスキームです。
こういった新規のビジネスモデルの台頭によって、蓄電池の需要はさらに加速するものと思われます。
また、蓄電池の最大のボトルネックは、制御部分にあります。
不安定な太陽光発電で発電した電気の出し入れを最適化する事は、実践レベルで考えて、とても難しい事でもあります。
機微な気象条件を読み込む技術を、制御プログラムに実装する必要があります。
この辺りの開発項目はかなりブルーオーシャンな領域ではないかと思います。
今まで誰も考えなかったサービスや仕組みを構築するチャンスでもあり、それをできる人材にも限りがあります。
特にこの辺りの領域はプログラミングができるか否かに掛かっています。
そう遠くない将来に、AIの活躍も期待される分野でもあります。