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ZERO to ONEを読んでみた

現在の流通からテクノロジーに至るまで、彼の影響力は絶大なものがあります。

そんな彼が書いた著書が、このZERO to ONEです。

とてもシンプルなタイトルの中身は、誰もが複雑に捉えている世の中の本質とは何かというテーマに切り込んでいます。

本の中身よりもまず初めに、この本の翻訳者がとても優秀な方なのではないかという所を紹介したいと思います。

翻訳者の理念として、20年以上の歴史の古いに掛かった書物しか、翻訳しないそうなのだが、このピーター・ティールという人物の本だけは、書かない訳には行かないと述べている。

この本を読み終えて、その理由を同時に理解できた。そしてこの人のお陰で、我々日本人がこの素晴らしい書物をストレス無く読めるという環境を作り出してくれた事に感謝できたという副産物を得られた。

外国人著者の本は、その著者と同様に、翻訳者の実力も吟味しなければならないという基本を学ばせてくれました。

著者の事をどれだけ理解していて、どれだけ著者の情熱をダイレクトに伝えられるか、そういう部分もとても重要です。

さて、本題についてですが、この本で最も強く語っている事は『競争ではなく独占』であり、競争はいずれ消耗するという事です。

何となくそれぐらいの事は、私を含め一般人でも分かる内容ですが、もっと突っ込んだ事として『隠れた真実を探せ』とも言っています。

この辺から少し、人によっては分かりにくい領域に入ってくる所でもあり、意見も分かれる所ではないかと思います。

そもそも真実とは何かという定義が重要かもしれませんが、一般的に多くの人は多数決の意見や、民主主義による決定が真実、またはより真実に近いものであると認識しがちです。

この本はそういった価値観を真っ向から否定しています。

『秘密を探すべき最良の場所は、ほかに誰も見ていない場所だ』とあるように、我々の答えが謎めいている前提であれば、当たり前にほかの誰かが顕在的に述べている答えが、自分の答えであると結論づける事は、確かに不自然な事かもしれません。

これは銀河鉄道の夜で、キツネが『肝心な事はいつも見えない』と言っていた事と、どこか通じるものがあります。

世の中の本質は、我々が見ている方向とは別の方向にあるのかもしれないと、そんな事に気づかせてくれる本でした。

一方で彼は、再生可能エネルギーに関してはかなり辛辣な意見を述べています。

ソリンドラやQセルズの破綻を背景に、まるでクリーンエネルギーは茶番劇でもあるかのような口ぶりです。

例外的に彼が投資するイーロン・マスクの会社であるテスラについては親心からか、バックアップする意見を述べている。

アメリカはもはやシェールガスにより、エネルギーはもはや内需で満たす事ができる国となった。

それなのになぜ今、再生可能エネルギーなのかという思いでもあるのでしょう。

再生可能エネルギーの可能性を信じ、そこを主戦場としている私にとっては異議を感じる内容でしたが、確かにティールが出資しているとは言え、赤字続きのテスラを見ていると、彼の意見に説得力を感じざるを得ない所でもありました。

再生可能エネルギーは誰が聞いても、理想的なエネルギーである事は間違いない。しかし、前述にある隠れた本質のロジックで考えれば、そこに落とし穴があるのではないかと、自分を疑うきっかけにもなりました。

それほどまでに、世の中の見方がガラッと変わる内容でした。

多くの日本人がこの本を手に取って、常識を疑い、本質と向き合って、競争をしない社会が実現できれば、本当に理想な社会の実現ができるのではないかと思います。

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