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研修やセミナーで一番前に座る事が良いって本当?

よく研修やセミナー等で、『一番前に座らなければダメだ』と言われた事はないでしょうか?

何となく雰囲気で理解はするものの、その科学的根拠は少し乏しいのではないかとも思えます。

特に日本人は恥ずかしがり屋な一面もあり、こういう場面では一番前の席は敬遠されるのが一般的です。

会場によって性質は異なるものの、一番前に座るパターンとしては、以下の通りの展開が当てはまるのではないでしょうか。

A. 到着した人から順に強制的に一番前に座らされる会場

B. 遅めに来た人が残った席として一番前に座らされる会場

C. 本当にやる気のある人達が自発的に座る事により、一番前の席が満席になっている会場

一番前に座る事を良しとする発想は、このCの展開を理想型としてイメージされているのではないかと思います。

果たして一番前に座る事によって、どんなメリットが考えられるのだろうか?

一般的に一番前に座ると、いちいち講師に絡まれる面倒臭いポジションであり、その講師の質問に答えられなかったりすると、かなり恥ずかしい思いをするなどのリスクもある。

逆にある程度予習を重ねた状態でその場に臨み、限られた時間で自分のパフォーマンスを発揮し、なおかつ講師と対等にその場で渡り合いたいという殊勝な志を持っている人なら、一番前に座る事に大きな意義があるとも考えられる。

では、その一番前に座る事によって、誰もが良い方向にシフトするのだろうか?

どんな会場でも、一番前に座る事にそれ程大きな意義があるのか?

以上の事について、幾つか考えてみました。

まずは自分の特徴をよく知る事

まずは自分がどのポジション向きかを考える。

人にはそれぞれ個性というものがあります。

当然、一番前に向いている人もいれば、そうでない人もいるはずです。

例えば競馬というスポーツにおいて、馬にもそれぞれ個性があると言います。

馬群を形成して走る際に、その個性に合ったポジションで走らなければ、その馬の能力を発揮する事はできず、レースでは勝てないそうです。

その大まかな特徴は

①逃げ馬:スタートダッシュを決めて、単騎で先頭を走り続ける

②先行馬:逃げ馬をマークして二、三番手の位置でペースを保ち、ゴール直前で逃げ馬をかわす

③差し馬:虎視眈々と中団で待機して、勝負所でスパートを仕掛け、直線で前を走る馬を差し切る

④追込馬:最後方で力を温存してマイペースを維持するも、直線で一気に末脚を爆発させる

といった形で、各々に合ったポジションでレースを進める事により、自分の力を最大限に発揮すると言います。

逃げ馬が出遅れると、そのレースは台無しとなり、逆に追込み馬が間違って先頭に立ってしまうと、ペースが掴めなくなってスタミナをロスし、直線で伸び脚を欠く事がある。

研修や勉強会場においても、一定の競争の原理が働く事を考えるとすれば、馬と人間では違いがあるとは言え、通じる部分もあるのではないでしょうか。さしずめ一番前に座る人は逃げ馬に相当するのではないかと思います。

一番前は確かに視界が良好で、何の障害物も無く、講義に臨める位置ではありますが、ゴルゴ13のように後ろに人が居ると調子が出ないという人などは、一番後ろの方が良いという結論も、導き出せなくもありません。

会場の性質によっても戦略の立て方が異なる

もちろん人それぞれの個性もありますが、会場の個性というものもあります。

それはそこに集まる人の性質によって、ある程度決定付けられる要因でもあります。

例えば、何かを学びにその場に集まっているはずなのに、終始スマホをいじっている人や勉強とは関係ない内職等をしている人、講義中に寝ている人達が現れる会場もあります。

よく無料セミナーなどで、こういう展開をよく目にしますが、確かにこういう人達が目立つ会場は、さすがに気持ちも萎えてきます。

特に共感能力の高い人や周囲の影響を受けやすい人にとっては、どこまでも低い意識に引っ張られてしまう事もある為、誰でも参加できてしまう無料セミナーのような会場では、一番前に座ってなるべく余計な光景を視界に入れないという戦略は有効に機能します。

反対に高額セミナー等、自分で高いお金を払う程の意識の高い人達が集まる場においては、中途半端に内職する人や居眠りする人はほとんどいません。(但し、会社や親等がお金を出して研修に参加する人の中には例外もあり得る)

何も高額セミナーに限った事ではないでしょうが、意識の高い人達が集まる場においては、講師の説明よりもそこに集まる人達を見ているだけで勉強になるという事もあります。

人間は非言語の情報もかなり受信している為、そういった意識の高い人から発せられる波動やエネルギーは、その人達の所作や振舞い、身に付けているもの等から、自ずと滲み出ています。

ある意味副産物的に、波動の高いオーラを吸収する機会があるのなら、何も一番前に座らなくとも、周囲の人々を観察できるポジショニングも意味のある事なのかもしれません。

以上の考察から、一番前イコール一番いい場所と決め付けるのは早計で、そこに集まる人、会場の性質、そして何よりも自分自身の性質を総合的に判断して決める事が望ましいかと思います。

因みに私は大抵の場合、前から2番目の位置に座る事を選択しています。

理由は

・前に近い位置ではあるが、講師に絡まれる事はあまりない

・そうは言っても一番前に座る人は意識が高い人の割合が多く、そういう人達をマークできる

・人を視界に入れすぎないという点でバランスが取れている

という点です。

先ほどの競馬の例で語ると、さしずめ私は先行馬といった所でしょうか。(因みに統計的なデータでは、②の先行馬が勝つ確率が最も高いとされているそうです。)

マンツーマンの教育であれば、こういった余計な事は考えなくても良いとは思いますが、自分を進化させるのも退化させるのも、人が関係している事は間違いありません。

自分の目標を達成する為には、どこにいるのか、誰といるのかは重要な要素となります。

本当の意味では周囲を気にせず、誰に何を言われるでもなく、自分の属性を見極める事は技術でもあります。

その技術に磨きを掛ける人が、自分をより目標に近づけて行くのではないでしょうか。


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